おかあさん

私は東北のとある町で育った。
母は仕事を持っていて、父はいつも家にいなかった。
今のように保育園なんて充実していない時代だったから、
個人のお宅で託児所のようなところがあったんだ。
私と弟は、母が仕事にいってる間はある家庭に預けられて
そこで育った。
そこのおとうさんとおかあさんは、私と弟を
とても大切にとても可愛がってくれた。
母が迎えにきても、弟に至っては、帰りたくないと
大泣きしたもんだった。
母の迎えが遅くても、寂しい思いなどしたことがないほど
私もおとうさんとおかあさんが大好きだった。
私が幼稚園の年長組だったころ、引越しでその町を離れることになり
おとうさんとおかあさんからも離れることになってしまった。
その後、我が家は関東へと引っ越すことになり、
ほんとに縁遠くなってしまった。
年賀状とかのやり取りは続いたものの、
会いにいくことも年々少なくなってしまって･･
いつしか私たちはすっかり大人になった。
おとうさんは、だいぶ前に他界してしまったけれど
おかあさんはいつも明るく元気だった。
先日の東北地方の大地震の震源地に近かったから
地震お見舞いの電話をした。
何年ぶりだろう。おかあさんと話しをした。
あの頃と少しも変わらない声で。
遊びにいくから元気でいてねと約束したのに。
懐かしい話したくさんしたのに。


今日･･
喪中の葉書が届いた。
おかあさんが亡くなったって。
平成２０年１１月２０日。
８３歳で永眠。

おとうさんと会えたよね。
とても仲良しのご夫婦だったから･･
天国で一緒にいるんだよね。



時は流れる。
人は生まれそしていつか死んでいく。


淋しいな。
悲しいな。


おとうさん、おかあさん。
ありがとう。

合掌。